西岡さんは発がん物質といわれるものに、唾液を加えてみるという実験をしました。トリプ・P-1という強力な発がん物質に唾液を加えると、明らかに発がん作用が抑えられていることがわかりました。
10億個のバクテリア細胞当たりの発がん作用が、唾液を加えなかったほうは六六〇個もあったのに、唾液を加えたほうはわずかに五〇個しかありませんでした。これは驚くべき結果です。
(中略)
国立がんセンターの疫学部長をされていた平山雄先生は、胃がんの患者さん160人を調べた結果、かなりの患者さんが若いころから虫歯に悩まされていたということがわかりました。健康な人の約二倍も胃がんの患者さんの虫歯は多いのです。
食道がんの人も虫歯が多いという報告もあります。唾液にはがんを抑える物質が含まれています。それと同じで唾液には虫歯を抑える働きもあります。つまり、よく噛むことが、がんを抑え虫歯を抑えている可能性が非常に高いのです。
当時の食事を再現して咀嚼回数を検証したところ、邪馬台国の卑弥呼は3990回、江戸幕府の徳川家康は1465回という結果が出たそうですね。
ちなみに、現代人の咀嚼回数は620回。ですが、戦前までは1420回であり徳川家康の頃とそれほど変わらなかったとのこと。戦後になってから急激に咀嚼回数が減少しているようです。
卑弥呼が何歳まで生きたのかはわかりませんが、ご長寿の徳川家康さんは73歳まで生きられたそうですね。これも噛んだ回数(唾液)のおかげでしょうか?