脂肪細胞がほかの細胞と最も異なっていることは、細胞質の大部分が油滴によって占められていることです。脂肪は、この油滴の中にたくわえられています。
小包体の膜には、リパーゼという酵素がはめこまれています。リパーゼは「脂肪分解酵素」といい、からだの中にある脂肪を分解する働きがあります。
脂肪を分解させるためには、リパーゼと油滴とが接触することが必要です。
しかし、油滴の表面にはリパーゼと自由に接触できないように扉がついています。リパーゼの働きによって脂肪を分解させるためには、まず、油滴表面にある扉の壁を開けなければなりません。
この鍵として働くのが、ノルアドレナリン、アドレナリン、副腎皮質刺激ホルモンなどのホルモンです。このようなホルモンが出されると、油滴表面のタンパク質と結合した燐脂質に働き、扉を開けてリパーゼが油滴と接触できるようになります。
このように、脂肪分解には、リパーゼと油滴が接触できるようにノルアドレナリンのようなホルモンが出されることが不可欠です。
このようなホルモンを出すためには、中等度の全身運動を一定時間(30分)以上行うことが効果的です。
脂肪が燃焼し始めるのは運動開始から15分といった話をよく耳にしますが、ホルモンの分泌と関係があるようですね。
脂肪とそれを分解する酵素の間には壁がある。だから、平常時は脂肪をエネルギーとして使うことができない。運動によってホルモンが分泌することで“エネルギーが必要ですよ”という合図とともに酵素が脂肪に働きかけられるようになるみたいです。
ということは、ドキドキしたり、緊張したりしても脂肪を分解できる状態になっているとか?“恋をすると綺麗になる”というのも、異性を気にしておしゃれになるという気持ち的なものだけでなく、ドキドキやトキメキで分泌されたホルモンが体に働きかけ、脂肪を燃焼したり、肌の潤いを活発にさせてくれたりしているのかもしれませんね。