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ざつがくが好きです☆ by ゆうはん

拳法極意 発勁と基本拳 <読書感想>

 

合気道の達人・塩田剛三さんは、指導や大会などで演武を披露される直前に、ストレッチがわりに“その場ジャンプ”を控え室でされていたそうですね。体を1本の棒のように背筋を真っ直ぐ伸ばして、トントントンっと連続で跳躍。足をあまり曲げずに、軽く垂直方向に跳んでいたとのこと。

 

感覚的には、束ねた紙や割りばしなど、バラバラな状態の束を綺麗に揃えるような感じでしょうか。体内の重みの移動、重心位置の変化を使って身体のバランスを調整していらしたのかもしれないですね。

 

この本のトランポリンのくだりが興味深いです。

 

 

 

では何故、震脚を用いるのか?震脚の効果とは何か?


(中略)


するとある時、思いがけずも偶然に見たテレビ番組で納得するに到ったのであった。その番組とは「所さんの目がテン!(2000年9月10日放送。日本テレビ)」という科学番組であった。


その日の内容は小さな円形のトランポリンを使って、空手家の打撃力とゴルファーのボールの飛距離を測定するものであった。


トランポリンを垂直跳びする前後で測定すると、明らかにトランポリンを跳んだ後では、空手家の打撃力も、ゴルファーのボールの飛距離も大きくなっていた。

 

 

拳法極意 発勁と基本拳

 

 

 

垂直跳びの成果と思われる、とても興味深い実験。ゴルファーがトランポリンで跳ぶと、ショットでゴルフボールの飛距離が増す。空手家がトランポリンで跳ねると、的を射抜く打撃の威力が強化される。というもの。

 

この結果は、重心移動がスムーズになることで、重みの移動をエネルギーに転化しやすくなったことが理由・原因のようです。ジャンプすると上がり、落下すると下がる重心位置。力みや緊張で身体がカチコチに固まっていると、上手く重心移動が行われない。ジャンプで身体をほぐしながら、重心位置の変化を感じることがスポーツ(運動)上達のコツということでしょうか。

 

中国拳法や日本の古流武術の研究をされていた松田隆智さん。テレビの放送を見て、「八極拳では、なぜ攻撃の前にドスンと地面を踏んでから動き出すのか?」という疑問……“震脚の意味”が氷解したとのこと。トランポリンとは逆に、ドンっと力強く片足で地面を叩くことで、重心を集中させられるのだと感じたそうですね。

 

投げ技や打撃技が強くなるには、重みを上下させる身体意識がポイントなのかもしれないですね。とすると、試合や大会など、大事な勝負があるときは、とにかくジャンプしてから挑むのが良いのかも。

 

 


拳法極意 発勁と基本拳
 

松田隆智

 

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