研・考・思・好

ざつがくしてます☆ by ゆうはん

筋トレの「腕立て」とは違う「鉄牛耕地」の鍛錬?

 

臂功練習法「鉄牛耕地」のトレーニングは、腕の筋肉・筋力を鍛える“腕立てふせ”にやり方が似ている運動。でも、まったく効果が別物の鍛錬方法という話。姿勢が同じなので、よく勘違いされるみたいですね。

 

 

…中国武術の伝統的な稽古法に「鉄牛耕地」というのがある。これは一般には腕立て伏せだと理解されているが、そうするとおかしなことになる。


(中略)


これは「鉄牛耕地」を腕立て伏せだと理解する所にそもそもの問題がある。つまり、この2つのは外見は似ているが、内容は異なった訓練方法なのだ。


「鉄牛耕地」の主な目的は背中の筋肉を活発強化し、その働きを下半身と結びつける所にある。ところがこれを単なる腕立て伏せとしてやると、その効果を求めることができない。

 

武的発想論―自ら成し、自らを成す 

 

 

「鉄牛耕地」は、腕立ての姿勢から腰を“くの字”に曲げ、元の姿勢に戻ることを繰り返す。その過程で腕が伸縮するというもの。ポイントは、重み(重心)の移動で腕と背中に負荷をかけること。


パンチのパワー・打撃の威力の源は、下半身から伝わる重みの荷重移動。腕力は、体重移動を支える程度の筋肉があれば良い。重みが乗った瞬間、加重に負けない程度に腕を緊張させる。この重みの伝え方、手足腰の使い方は、発勁・寸勁(暗勁、冷勁などのゼロ距離打法)・化勁の感覚に近いですよね。


通常のパンチは、拳に体重を乗せながら、距離で加速させて威力を高める。なので、相手との距離が遠ければ遠いほど威力が増す。


発勁は、相手との距離(間合い)に頼らず、足元から指先まで、体の長さで加速する技術。相手が近くにいても、重心位置の変化、重みが体内を移動することで加速させることができる。


「鉄牛耕地」は、腕を鍛えて“筋力”に頼るのではなく、発勁・寸勁・化勁といった“勁力”を養成するもの…体重移動、重心位置の感覚を養うことが、稽古目的なのだと思われる。


そういえば、合気道さんには、臂力(ひりき)や丹田意識を練るための「舟漕ぎ運動」があるそうですね。両手を前後させながら足腰で体重移動…櫂(オール)で船を立ちこぎするような運動。これは立った状態で行う「鉄牛耕地」のような感覚なのかもしれませんね。合気も勁力に近いように感じます。

 

武的発想論―自ら成し、自らを成す 

時津賢児

 

 

※ Amazonのアソシエイトとして、ゆうはんは適格販売により収入を得ています。