化勁の基本原則
沾・・敵の手(あるいは身体の一部)に自分の手(あるいは身体の一部)を触れてしまうことであり、このことによって敵の動向を察知する(聴勁という)。
連・・沾によって敵の身体に触れたら、離れずに連なること。
随・・敵の動きによって随って行くこと。
粘・・敵にはりついて離れないこと
走・・敵が前後左右のいずれの方向に移動しても、離れずに身をまかせてついて行くこと。
武術<うーしゅう>別冊 秘伝中国武芸
年齢差、体力差を埋めるには、相手に触れて離れないこと。そして、力の流れに逆らわないこと。離れていると俊敏な反応や瞬発力が必要となるので、距離を空けなければよいというのが中国武術の考え方のようですね。
突きや蹴りは、適切な距離(間合い)があって威力を発揮する。自分と相手との空間があることが前提となっている。間合いを潰すことが相手の攻撃を封じることができる。ただ、近距離で威力を発揮する打撃に対して対処が必要になってくる。そこで化勁が生まれたみたいですね。
相手の近くにいる極意は「相手の力に逆らわない」「相手の動きに従う」こと。でも、相手に振り回されて後手後手になっているわけではない。間合いが消され、相手は思い通りに動けないでいる…こちらは攻めつつ守っている状態。相手の力に従っても、戦いそのものを支配しているのがポイント。
千葉県野田市にある武神館宗家で武術(忍法体術)の達人・初見良昭(武神館)さん。販売されているDVDの指導映像で「ディスタンス(間合い・距離の意味)」という言葉がよく使われています。「相手と自分とで構築される空間によって技は変わるもの」といったニュアンスで、やはり戦いの基本・武術の本質は“間合いの操作感覚”にあるみたいですね。