カラダの研究

理想の体をつくる習慣、動きを変える考え方を求めて

吊り腰

 

 

 

 

 

またここでは聞き慣れない「吊り腰」という言葉が用いられているが、師範によれば、猿が二本足で立ち上がった瞬間の姿勢とする。


それはあたかも腰が天井から吊り上げられたかのようになり、後ろ足の膝はやや曲がっており、上体が不安定に前に倒れかかった立ちかたで、その猿の立ちかたを原理として、実際に人間が行う場合には、「下腹の真下に体重が降り、膝の突っ張りが抜けて足が浮」いた状態で、両足は氷上を行くように自由自在に八方移動し得る立ちかたであるという。


少なくとも吊り腰の姿勢は、下腹の真下に体重が落ちた姿勢であり、これまた丹田を養成するという「歩行法則に則った一拍子打」と一致しているように思われる。

 

 古武術と身体―日本人の身体感覚を呼び起こす

 

 

 

武術の立ち方を述べた「吊り腰」のくだり。甲野善紀さん、前田英樹さんの著書『剣の思想』に書かれている“猿廻”の太刀を引用しての解説です。

 


武術の動きは、日常にあって非日常を意識することにあります。たとえば、水中の中を動いているような動き方であり、氷や石の上で転ばずに歩くような重心移動であったり。“抵抗が強い中を動く力強さ”と“摩擦がゼロの中で動くような繊細さ”を共存させる矛盾を意識する動き。

 


“吊り腰”の姿勢も同様の感覚のようですね。前転をするときのように上半身へと上がる重心、浮き上がる足。重みを軽く扱った状態に身体を置くことで、刀捌きを自由にする姿勢なのだと思われる。感覚的にはふわっと動く感じでしょうか。