手の長さとは、何処から何処までだろうか?これはたいへん重要な問題である。手の長さとは、肩から指先ではない。
ではどのように測るのか?手の長さとは、右手の指先から背中を通り左手の指先までのことである。これが手の長さである。
(中略)
これは何を意味しているのか?拳法の動作原則とは、二本の手を別けて考えるのではなく、二本の手を一本の手としていっしょに動かすのである。
武術の身体感覚は、陰と陽、表と裏、左と右…対になるものがセットになっています。右手を動かそうと思ったら、左手を動かす。左右一対の意識が「腕の長さの例え」のようですね。
たとえば、両手を左右に開いて立ちます。右手を引っ張られたら、左手で何かを掴むように手を伸ばせば抵抗できるような感覚。
逆に、相手が右手を押してきたら、左手の肘を曲げて、両腕のバランス(長さによる重心位置)を変えるだけで押し返す力が増します。
左右の腕が繋がっているようにイメージすることで、動かしたい方とは逆サイドの変化・運動を力に利用できるようになる。「1本の腕の長さはどこまでか?」という不思議な問いは、身体の捉え方・意識をちょっと変えるだけで技術が上達する“秘密のなぞなぞ(口伝)”のようですね。